細菌・レジオネラ属菌検査
当社では、大腸菌、一般細菌やレジオネラ属菌の検査を行っています。
レジオネラ属菌の検査
レジオネラ属菌とは
レジオネラ属菌は自然界では土壌や河川や湖沼などの淡水に生息していますが、冷却塔水や浴槽水等で増殖し、ヒトがその菌を含む小さな飛沫を吸込むことで『レジオネラ肺炎』や『ポンチャック熱』という感染症を起こします。
レジオネラ属菌は≪細胞内増殖性≫という性質があります。自然界ではアメーバ等の原虫が細菌を捕食していますが、レジオネラはその原虫の体内で増殖します。また、浴槽や配管などに形成されるバイオフィルム(ぬめり)内で急激に増殖します。生体内においては、免疫を担うマクロファージに寄生し増殖します。この性質があるため、細胞内やバイオフィルム内にいるレジオネラ属菌には薬剤が直接届きません。そのため適切な洗浄、殺菌を行うことが重要です。
レジオネラ症感染者数は毎年1000人近くおり、1名程度の死亡例が確認されています。
レジオネラ症対策は今後も継続して行わなければなりません。レジオネラ属菌が増殖する可能性のある冷却塔、入浴施設、給湯設備、加湿器などの設備は適切な洗浄、殺菌等の衛生管理が必要です。レジオネラ属菌は目に見えません。菌数測定を行わなければ洗浄、殺菌の効果は確認できません。定期的に菌数検査を実施しましょう。
細胞(青色)内で増殖したレジオネラ属菌(赤色)
検査対象
冷却塔水、浴槽水、給湯設備の湯水、加湿器の水、プールの水など
浴槽水の水質基準
項目 | 基準値 |
---|---|
濁度 | 5度以下 |
過マンガン酸カリウム消費量 | 25mg/L以下 |
大腸菌群 | 1個/mL以下 |
レジオネラ属菌 | 検出されないこと(10CFU/100mL未満) |
※浴槽水について上記の項目をセットで測定致します。
測定法
培養法: 「新版レジオネラ症防止指針」記載方法
測定頻度
ろ過器を使用していない浴槽水及び毎日完全に換水している浴槽水
年1回以上
連日使用している浴槽水
年2回以上
迅速測定法
レジオネラ属菌は人工培地での増殖が遅いため、培養法による測定には約2週間を要します。迅速測定法として、レジオネラ属菌の遺伝子を検出するPCR法またはLAMP法があります。
※殺菌効果の確認試験など測定結果をお急ぎの場合はご相談下さい。
大腸菌について
大腸菌(Escherichia coli)は、グラム陰性の桿菌で通性嫌気性菌に属し、環境中に存在するバクテリアの主要な種の一つであり、家畜や人の腸内にも存在します。ほとんどのものは無害ですが、このうちいくつかのものは、人に下痢などの消化器症状や合併症を起こすことがあり、病原大腸菌と呼ばれています。病原大腸菌の中には、毒素を産生し、出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こす腸管出血性大腸菌と呼ばれるものがあります。
腸管出血性大腸菌は、菌の成分(「表面抗原」や「べん毛抗原」などと呼ばれています)によりさらにいくつかに分類されています。代表的なものは「腸管出血性大腸菌O157」で、そのほかに「O26」や「O111」などが知られています。