硝酸性窒素(NO3-N)処理剤バチルエース
バチルエース剤
特徴
- バチルエースは、硫黄をエネルギー源とする固体栄養法のため、メタノール添加等の制御システムおよび後曝気処理等の付帯設備が不要です
- 装置の構造が簡素であり、余剰汚泥の発生量が極めて少ないため、維持管理が容易です
- pH緩衝機能に優れ、海水条件でも使用可能です。また、15℃以下でも処理可能です
バチルエースと硫黄酸化脱窒細菌による脱窒の原理
本システムの原理は、硫黄酸化脱窒細菌による硝酸性窒素処理であり、いわゆる一般土壌菌を用いる生物学的処理です。本システムでは、この硫黄酸化脱窒菌とバチルエース(硫黄カルシウム剤)を用いて硝酸性窒素を処理します。
水中の硝酸イオン(NO3-)は、硫黄酸化脱窒細菌(Thiobacillus denitrificans)によってとり込まれ、硫黄酸化脱窒細菌は硝酸イオンの中の酸素で呼吸をし、不要な窒素(NO3-N)を窒素ガス(N2)として排気します。これが本生物処理における硝酸性窒素処理の基本メカニズムとなります。なおその際、硫黄酸化脱窒細菌は硫黄を取り込んで硫酸イオン(SO42-)を排出しますが、この時に硫黄と一緒に配合されているカルシウム(Ca)がこの硫酸イオンと結合して硫酸カルシウム(いわゆる石膏(CaSO4))を形成し、処理水の酸性化を防止することになります。
なお、硫黄/カルシウム系無機質材上における硫黄酸化脱窒反応は、現地実証サイトにおける採取データとその反応解析より、KOENIG&LIUの式とよく一致することが確認されています。
1.06NO3-+1.11S+0.3CO2+0.785H2O → 0.5N2+1.11SO42-+1.16H++0.06C5H7O2N
実際に硝酸性窒素処理を実施した硫黄カルシウム剤の表面を電子顕微鏡で観察すると、長さ2~3μm程度の硫黄酸化細菌を確認することができます(図2)。この硫黄酸化細菌が硫黄カルシウム剤の硫黄を食べながらNO3をN2へ変換してくれるのです。
図1.硫黄脱窒反応のメカニズム
図2.硫黄酸化脱窒細菌